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農家になってはいけない

  • 著者:林 真司
  • 投稿日:2018年12月16日
  • 更新日:2020年2月5日

 タイトルの通り、”農家にはならない”ということを自分に課すルールとして守らなければならない。農家というのは農業で生計を立てている世帯を表す言葉であり、私が目指す農業経営者とは意味合いが大きく異なる。現在農業を行なっている方の大半がそうだと思うが、農家レベルで農業を行なっているにすぎない。もし、経営者としての自覚を持って”農業という事業、ビジネス”を大半の方が行なっているのであれば、若年層の人材が都市部に流出することが少なく、県外からの人材の流入も現在より多かったということが考えられる。さらに、農家歴30年、うちは3代続いてる農家だから70,80年の歴史がある、と言う人もいるかもしれないが、それを株式会社で考えるとすごいことだ。経営歴30年だけど、年商1000万円もない、という笑い話が農業では当たり前のように発生しているのだ。ただ、きちんと経営できる人が増えると農地の取り合いが起こるはずなので、理論上農家の戸数が減って、それでも農業がやりたい人は力のある農業経営者の元で給料をもらいながら農業に従事する人が増えるという反面もある。(良いか悪いかは別として)。

 

 そもそも日本は農家の件数が多すぎる。農業の人手不足ということを新聞などを読む度に目にしている気がするが、あれは嘘で、本当の意味は、”家族や親戚、近所のコミュニティーでいない”だけで、やりたい人と農地を借りて欲しい人が繋がる仕組みが全くないし、農地の持ち主はそもそも知っている人や気心の知れた人に借りてもらいたいなどというようなことを言う始末。非効率で価値の低いものを農家同士がお互い目を密かに見張りながら惰性で作っていて、そのために価値のあるものを作りたいと本気で思っている人のための農地がない現状。農業をやりたい人なんていくらでもいる。ただ、効率が悪く儲からないような仕組みがあって、農地が法律等で守られすぎて新規参入が極めてしにくい事実があり、誰もそれを変えようとしないがために、実際はやらないのだ。”やらない”ではなく”やれない”のだ。農村地帯は人口が減っていく原因を自分たちが作っているのにそれに気づかず、”時代が悪い”とか、”仕事がないから”とか言ったりする。ちゃんと畑を使って効率的に価値の高いものを作っていたら仕事として成り立つんだから人は残るだろう。仕事がないところに人が残らないのは当然だろう。ただそれだけだ。そこを勘違いしてはいけない。

 

 今は農業がブームになりつつあり、農業がやりたい人なんてどこにでもいるはずなのに、”耕作放棄地の解消が大事だ!”などという問題の本質を全くつかんでいない事を言う役所や農協の人間は多い。さらに言うと、きちんと舗装された道に面する畑や田は放棄どころかむしろ取り合いだ。放棄されるのにはそれなりの理由があるのだ。今まで日本の農地は皆で仲良く農地を分配した結果、規模が小さく効率の悪い経営となっているのが現状。それでもある一定の収入が確保できていることに対して、日本の農家はこの国の豊かさに感謝すべきだろう。農業先進国であれば、とても日本と同じ規模(国内平均所有農地2ha弱)であれば、食べていくことすらできないし、発展途上国であれば、農家はとても貧しい。世界の貧困者の7割以上が農村に住んでいると言われているほどだ。今後は、なんとか草を生やさずに周囲に迷惑をかけていないと思っている農家、惰性で農地を使い、価値の低いものを作り続けている農家から土地を買い取り、まとまった効率経営ができるようにまず自分がならないといけないし、自分ができるようになれば、希望があった際同じようにできる人が増えるよう支援をしていかなければならない。そうすることが地域の特色を活かしながらその地域に落ちるマネーの量を増やす方法の一つだと考えている。

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プロフィール
運営者の顔写真

イチゴ農家の次男として生まれる。
明治大学卒業後、地元の地銀に入行するも、会社のカルチャーが全く肌に合わず1年で退社。退社後すぐにフィリピン留学でフィリピンのアンヘレス地方、セブ島で計約半年過ごす。
その後オーストラリアでワーキングホリデーを約半年行い、他国の桁違いの農業を初めて知る。ワーキングホリデー中にセブ島の語学学校でマネージャーをする話が決まり再度渡比。
語学学校では入社後半年足らずで急に経営者が変わることになり、またもカルチャーが合わなくなり1年半で退社。
セブ島で転職活動をし、比系大手IT会社に入社。当時付き合っていたフィリピン人の彼女(現妻)の妊娠出産がきっかけで1年で退社し、いつかは必ずやろうと思っていた農業をすることを決意し帰国。